ある恋愛日記カミングアウト【実話小説ラヂヲ】

【大人向きリアル恋愛日記小説】運命の恋・失恋・行きずりの恋・遊びのSEX・結婚・玉の輿・出会い系・モラハラ・離婚・妊娠・殺人・再婚・浮気・不倫・虐待・絶縁・同棲・二股・三角関係・遠距離恋愛etc…私の身に起った実話小説です。最低な話も多々ありますが何かのお役に立てれば幸いです。

第8話『同棲時代・再会』 

朗読でお聞きの方はこちらから。


 

youtu.be

 

最愛の筒井君と、

将来を誓い合ったまま別れたのが

六月終わり。

四歳年上の葛山君と

出逢ったのがその二か月ほど前、

G.W頃。

 

 

 

筒井君は実家だったし受験生だったから

いつでも、いつまでも、

一緒に過ごすという訳にはいかなかった。

でも葛山君は会社の独身寮に住んでいて

自由だったし、

私は独り暮らしだったから、

二人でいっつも、いつまででも

一緒に過ごしていられた。

 

 

 

もっと一緒に居たい、寂しい、

そう思ってるのに

帰ってしまう人よりも、

 

もっと一緒に居たいと思えば

いくらでもそばに居て

寂しくなんてさせない人、

 

そのことが余計に彼にハマってしまう

原因でもあったように思う。

 

 

 

 

 

 

 

五月に知り合ってデートを重ね、

六月になる頃には、

だんだん

 

彼が私の家に泊ることが多くなり、

そのうち着替えだとか

何かと葛山君の物が

私の家の中に増えてきて…

 

 

 

「一緒に住んじゃおうか。」

 

彼の口からそんな言葉が

ポロっと出るようになった。

 

それが最大の落し穴だった。

 

 

 

大人ぶってても

実はウブな子供だった19の私は、

そうでなくても葛山君との毎日に

浮かれていて舞い上がっていたから、

<一緒に暮らす>ことをまるで

<結婚>を切り出されたかのように

イメージしてしまっていた。

 

 

19のお馬鹿なコムスメの耳には

<一緒に暮らす>=<結婚>

葛山君が私との結婚を考えている

そんな風に聞こえてしまったのだった。

 

 

 

 

 

19歳同士の恋愛の中では

<結婚>はリアリティが無い

遠い先の事でしかなかったけど、

私にとって社会人で23歳の彼は

とても大人の世界の人に見えた。

だから、

結婚もリアルな話だと思えたのだ。

 

 

<結婚>というものに

訳もわからずやたらと憧れる時期が

若くて未熟な女の子にはありがちで、

それ以降、

19の私の頭の中は

どんどん<結婚>が膨らんで膨らんで、

暴走し始めていた。

 

 

 

 

 

 

七月になって

葛山君が私の家に引っ越してきた。

 

 

 

 

 

《19歳にとって23歳はカッコイイ大人。

30歳からみればどっちもコドモ。》

 

 

 

 

 

彼と一緒に暮らす事を

私はまるで

結婚することのように感じていた。

 

それらを混同していた。

 

 

 

 

 

時代は未だ昭和臭ただよう80年代末期。

 

彼との二人暮らしは

まるで当時のトレンディドラマのように

お洒落で甘い生活だった…。

 

私はすっかり酔いしれていた。

 

 

朝食はフランスパンにヨーグルト、

フルーツ…

 

二人一緒に家を出てそれぞれ出勤、

 

夜は早く帰った方が作る。

 

時には仕事帰りに待ち合わせて

食事に行ったり、飲みに出掛けた。

 

 

 

ただこれだけでも

19のコムスメ

<お洒落で甘い大人な生活>

に舞い上がれた。

彼はアパレルメーカーの営業だったから

私の勤めるデパートにも

仕事でよく来ていたし、

逢引きは簡単だった。

 

二人でワインを買って帰り、

暗めの間接照明にして部屋でも

カフェバーのおしゃれな雰囲気を作り、

ジャズを聴きながら寛ぐ。

そしてSEXをした。

 

 

 

SEXの相性が

あまりにも良かったということも

離れられなくなった原因のひとつ

なのかもしれない。

彼はギラギラのSEX好きという風では

なかったし、

そのガツガツしない温かいスキンシップが

私には心地よかった。

でもいざSEXとなるととても激しく、

そしてとってもやさしく

私の身体のすみずみまでを愛してくれる、

そんな人だった。

 

 

 

 

 

休みの日には

二人で食料品を買出しにいき、

レンタルビデオ店に行って、

のんびりと家で映画を観たり…

 

(当時はまだ家庭用ビデオデッキが

それほど普及していなくて、

若い独り暮しでビデオデッキを

持ってる人は少なかったから、

カウチポテトでビデオ鑑賞>

ってのが、

なんだかお洒落なデートだった時代。)

 

時にはドライブに出掛けたり…

 

とにかく幼稚な私には全てが

ドラマの中にいるようで、

毎日を浮かれた気分。

 

 

本当に浮かれて暮らしていた。

 

 

 

 

 

 

けれど、

あれほど愛しあって、

最後まで完全には捨て切れなかった

筒井君のことを

すぐに忘れてしまえた訳ではなかった。

 

 

 

 

 

それまでの三年間の

生活のベースに常にあった彼を

簡単に忘れられる訳がなかった。

 

私がそうであるように筒井君も同じだった。

 

 

 

筒井君の求めに応じて時々こっそり友達として会っていた。

 

 

 

 

 

 

ある時、

葛山君が昔の彼女に誘われて

コンサートに行くことになった。

 

元カノの二人でコンサート?普通に聞いたら、ちょっとキナ臭い話だ。

でも、背伸びして、物わかりの良い大人ぶってた私は、

 

 

「信用してるし、

構わないから行っておいでよ。」

 

と、器の大きな女を演じて見せた。

 

 

 

 

内心穏やかでない心の雑音に耳を塞ぐために

同じ日に筒井君とデートし、

気を紛らわせてた。

そんなこともあった。

 

 

 

当時流行っていたトレンディドラマ、

明石家さんまさんと大竹しのぶさんの

ご結婚のキッカケになった

男女7人秋物語」、

 

それから、

柴門ふみさんの漫画をドラマ化した

緒方直人さん、安田成美さん主演の、

「同生」というのがあって・・・

それらのストーリーの主人公に

自分の姿を重ねてみていた。

 

 

別れて別の人といるけれど、

別れた恋人のことを強く想う主人公・・・

そんな自分に酔っていた。

 

バカだった。

 

 

 

 

そうして私はハタチになった。

 

 

 

 

《ハタチの誕生日、どんな日でしたか?》

 

 

 

 

 

葛山君からとてもお洒落で可愛い

18金のネックレスを

ハタチの誕生日にプレゼントされて、

幸せな幸せな誕生日を過ごしていた、

その時、急に、

私の脳内には前年の19の誕生日のことが

猛烈に蘇り、

たまらなくなっていた…

 

 

 

 

バイト時代に付き合っていた

ユースケ君。

 

 

19の誕生日に彼にもらったピアスを

ずっと大切にしていた。

とても愛していたのに

当時まだ筒井君と別れる勇気の無かった私は

同時進行という苦しさから逃れるため、

想いを残したまま別れてしまった。

 

 

 

 

 

ハタチを迎える数カ月前、

七月の半ば頃から

駅のホームや電車の中でバッタリ

2~3回続けて遭遇したことがあって、

一言二言どぎまぎと

挨拶を交したことがあった。

 

そんな時、

嫌な顔したり

無視したりしないでいてくれるユースケ君。

 

私の心はこの上なく救われた。

 

 

そんなユースケ君の優しい態度に

図に乗った私は、

彼がバイトに入っている日に、

思いきって店に行ってみることにした。

 

 

あの別れの手紙を書いた後、

 

「リクの事ちゃんと忘れたいから

店にはしばらく顔を出さないで欲しい。

顔見るのはキツいから。」

 

と言われてた。

あれから半年以上が過ぎ、

偶然バッタリ駅で遭遇した時の彼は優しい、

でも、

店に行くのは本当はまだとても怖かった。

理不尽な別れを言った私のこと

まだ恨んでいるかもしれない…

 

 

 

 

私が店に行くと、

偶然にもちょうど彼は

バイト上がりの時間だった。

 

 

 

 

「じゃあ、せっかく来たんだし、

一緒にお茶でもしよっか?」

 

 

ユースケ君はそう言ってくれた。

 

 

 

あの別れ以来、

久しぶりに大好きなユースケ君と話せた。

 

理不尽に急に彼の元から去った私を

恨んでいてもおかしくないのに、

とりあえず嫌な顔しないで

会って話してくれる。

 

なんだか理屈抜きにとっても嬉しくて、

逢いたくてしょうがないと

思うようになった。

 

他愛のない社交辞令っぽい再会トーク

それだけじゃなく、

もっともっと

話したいことがいっぱいある。

あんな別れのままで終わりたくない。

 

 

 

迷って悩んで躊躇って、でも、

そうして想いが募ったあげく、

ついに思いきって彼に電話をすることにした。

 

彼の就活のことも気になっていたし、

就職状況次第では遠くに行ってしまうかもしれないし。

 

電話して話してみて、

また逢ってくれそうなら逢いたい!

 

 

 

 

電話を掛けた・・・

 

断わられるのを覚悟で、

 

「また逢いたいんだけど。」

 

と言ってみた。

 

 

 

 

私の心配をよそに

優しくOKしてくれたユースケ君。

別れて半年以上ぶりに

デート出来ることになった。

 

 

 

 

 

映画を観て、

食事して、

川辺に座ってずっと話していた。

 

9ヶ月ほど前、

いきなり理不尽な手紙ひとつで

「好きだけと別れましょう」

なんて言って去った女に、

また急にしゃしゃり出て来られて

怒ってる?迷惑?・・・

色々考えてドギマギしていたけれど、

彼はとっても温かく私に接してくれて、

わだかまりもなく、

あの頃の事も笑いまじりに

たくさん話してくれた。

 

「あの時のリクを許してやった、

俺の心の広さってば・・・

感謝しろよな~」

 

 

 

私が愛したユースケ君

そのままで変わらず接してくれて、

とてもとても嬉しかった。

 

 

 

 

 

ますます、

“これっきりにしたくない”

という想いが募ってしまった。

 

「就職が決まったら大阪に行く。」

そう言っていたユースケ君。

 

このまま逢えなくなるなんて嫌!

 

まだ離れてしまいたくない!

 

という気持ちでいっぱいになった。

 

 

 

 

《なかなか帰って来ない

同棲相手の多忙中、元彼と再会デート。

馬鹿な女・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

十月になって、

同棲中の葛山君が仕事の都合で

彼の寮に帰る日が多くなって

留守がちな時期が続いてた。

 

 

今思えば、

そんなの言い訳で、

私から逃げ出して元カノか

他の女性とよろしくやっていたのかも

しれませんけど・・・

 

 

 

 

葛山君の不在で寂しかったせいなのか、

ユースケ君が春には遠くに行ってしまうと

聞いたせいなのか、

私はどうしてもユースケ君に

もう一度、いやもっと逢いたくて、

しょうがなかった。

 

 

 

 

 

ユースケ君は私の家の

すぐそばの大学に通っていて、

近所の喫茶店でバイトしていたから

今までは、

偶然バッタリ会う事もあったのだけれど、

春がきたら卒業して大阪に…

 

もうきっとバッタリ逢う事もない。

きっと一生逢えなくなってしまう。

 

 

 

どうしてももっと逢っておきたくて、

何度も大学のそばで

偶然を装い待ち伏せてみたりした。

 

 

 

でも、

そう簡単には偶然は起こらず、

何時間も待ちぼうけってことが続いたっけ…

 

 

 

 

 

そんな事を何日かして、

ある日、

やっと彼の姿を大学のそばで

みつけることが出来た。

 

 

 <またかよ!>って、

いいかげん迷惑そうな顔をされてしまうかも

しれないと覚悟してはいた。

 

でも、

そこにはあの頃のままの、

<しょうがない奴だなあ>

と言いながら笑ったあの優しい

ユースケ君の笑顔があった。

 

私を見つけて、

そのクシャッとした微笑みを見せてくれる

ユースケ君。

その顔を見て私は

今の二人の立場をそっちのけて

彼の胸に飛び込みたい気持ちだった。

 

 

 

 

 

話しながら駅までしばらく一緒に歩く。

 

たったそれだけだけど、

本当に嬉しい時間。

 

 

駅の近くの神社。

その日たまたまやってた縁日の夜店。

私が縁日大好き!

って言ってたのを覚えててくれたのか、

「ちょっと寄ってくか?」

と、さり気なく誘ってくれるユースケ君。

 

お祭りの中でハシャいで遊んで、

お茶しておしゃべりして、

そして私を家まで送り届けてくれた。

 

 

 

 

家の前で私が別れ難い顔をしていると、

またいつものあの

<しょうがない奴だなあ>

 

というユースケ君の笑顔で、

 

 

「じゃ、コーヒーでもいれてくれるの?」

 

と言ってくれる。

本当に私が言えないでいることを

いつも見抜いて笑顔で受け止めてくれる

ユースケ君はいつも

私をそうやってあっという間に

包み込む不思議な人。

 

 

 

「でも、俺は帰るぞ、

もう昔とは違うんだからな。

電話貸してもらったら帰るから。」

 

 

 

 

《電話貸してもらったら???

家電しか無かった時代特有の

玄関先でのフレーズ。》

 

f:id:lovefm:20201213162323j:plain



 

当時ちょうどショルダーバッグみたいな

携帯電話が初めて発売になったばかり。

電話を携帯って一体何?って、

驚いてCM見てたくらいの頃でしたから、

まだ誰もヤクザ風の人ですら滅多に

携帯電話は持っていなかった時代・・・

 

 

 

 

 

葛山君の帰ってこない部屋に

ユースケ君を招き入れ、

コーヒーを入れ、

ゆっくり飲みながら二人で部屋で少しくつろぐ。

 

あの頃に戻ったような時間だった。

私のこと、仕事のこと、

身体のこと、あれこれ心配してくれる。

 

「相変わらずだなリクは・・・

と、私のこと良く良く解ってくれて、

優しく気遣ってくれる。

そんな優しくつつんでくれる人だから、

私の我がままに笑って付き合って

くれていたのかもしれない。

 

 

 

「もう昔とはちがうんだぞ。」

 

 

ユースケ君のその言葉が

私の胸につき刺さってズキンと音を立てた。

 

 

 

「リクのこと許してやった俺って

なんて心が広いんだろ~」

 

冗談まじりに彼が笑う。

 

 

切なくて胸がしめつけられる想いがした。

 

 

 

昔、彼が私の部屋で夢中になってた

木製のパズル、

「これ、懐かしいなあ。」

そう言ってまた遊び始めるユースケ君。

あーでもないこーでもないと、

くつろぎながら遊ぶ。

 

帰る時間が来てもバズルは完成しなくて、

「ね、持って帰ったら怒る?」

と彼。

 

パズルを渡して別れた。

 

またそれで逢えるんだと想ったら

嬉しくて。

 

 

 

 

 

数日後、

彼が完成したパズルを持って

家にきてくれた。

 

 

嬉しかった!

 

でも・・・

まさか電話もなく

家に突然来るなんて予想外だった。

 

嬉しくてたまらないのに…

チャイムが鳴ったその時、

家には同棲中の葛山君が帰ってきていたのだ。

 

 

 

玄関先で、そそくさと受け取るしかなかった。

 

 

 

 

これきりになってしまうのか…

 

 

 

 

 

 

 

そう思った次の瞬間。

 

 

「あのさ、この前部屋にあった

絵を借りたいんだけど、ダメかな?」

 

 

 

私が趣味で描いて飾ってた絵。

大学のサークルのポスターのデザインに

使いたいから貸してほしいと。

 

私はまたもう一度逢いたい一心で

もちろん絵を持って帰ってもらった。

 

 

 

 

 

《玄関にあった葛山君の靴は

隠してました。

あざとい女・・・

 

 

 

 

 

 

 

思えばあの時のユースケ君・・・

パズルにしても、絵にしても、

持って帰ったりしたのは、

彼もまたそれをきっかけに逢おうと、

また私とやり直そうと

思っていてくれたのではないか、

なんて思うのはあまりにも

自惚が過ぎるだろうか。

 

 

 

 

 

 

そのまた数日後、

絵を返しに来てくれた時も

やはり突然の訪問で、

部屋には葛山君がいて・・・

玄関先でコソコソと

手短なやりとりで終わらざるを

得なくなり・・・

 

二回連続で訪問して玄関先で追い帰されたら

どう考えても終わりになってしまう。

ここで彼を帰してしまえば、

もう逢えなくなってしまう!

 

 

帰ろうとするユースケ君を引き止めたい、

でも、部屋に入れることは出来ない、

でも行かないで・・・

 

結局、彼の背中を目で追うしかできず、

それきりユースケ君とは

接点がなくなってしまった。

 

それが彼との最後だった。

 

 

 

 

心を残したまま

二度と逢えない人となってしまった。

だから10年経っても20年経っても、

今でもふと恋しく思い出すのだろう。

 

 

 

もしもあの時、

絵を返しに来てくれた時、

葛山君が部屋にいなかったら・・・

私とユースケ君は

また始まっていたのだろうか。

 

 

あの時、葛山君と別れて、

ユースケ君とやり直していたら、

私はそのあと

辛い目にあわずに済んだのだろうか。

 

 

 

 

 

そのあとの人生の波が

すべて変わっていただろうけれど、

人生に<タラレバ>なんてない。

 

 

 

 

《もしタラレバの世界を覗き見ることが

出来るとしたら、

貴方はどのタラレバを選びますか?

私にとって一番覗いてみたい

タラレバの世界は、

この時のタラレバかも。》

 

 

===============

お読みいただきありがとうございました!
最後にポチッと!励ましいただけたら幸いです!
にほんブログ村 恋愛ブログ 恋愛体験談へにほんブログ村 小説ブログ ロマンス小説へにほんブログ村 恋愛ブログへ
応援のスター、ブックマークなどなど
本当にありがとうございます!