ある恋愛日記カミングアウト【実話小説ラヂヲ】

【大人向きリアル恋愛日記小説】運命の恋・失恋・行きずりの恋・遊びのSEX・結婚・玉の輿・出会い系・モラハラ・離婚・妊娠・殺人・再婚・浮気・不倫・虐待・絶縁・同棲・二股・三角関係・遠距離恋愛etc…私の身に起った実話小説です。最低な話も多々ありますが何かのお役に立てれば幸いです。

『番外編:初めての告白から…』

朗読を聴く方はコチラ↓

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中学一年の秋。

二学期が始まってクラスの席替え。
私の左斜め前に座る事になったM君。

 
私はいつの間にか彼を好きになってた。



席が近かったので絡むことも時々あったからかな?
いつも斜め後ろの席から彼を見つめているのが
嬉しくてしょうがなかった。
そんな日々が始まった。



席の近かった何人かの男子と女子との仲間の輪に
私も入っていられたので、
彼と一緒にいられて嬉しい毎日だった。

彼の持ち物や、話しから、同じものを好きになって
共通の話題を作っては、
ドキドキしながら話しかける日々。


そんな風に二学期が終わり、
三学期。

私は小学校時代も大好きな男の子がいたのだけど、
どう考えても絶対に告白なんて勇気はなかったので
周りの友達のようにバレンタインに何かした事なんて
これまで一度もなかった。

そう、三学期といえばバレンタインデーがやってくる…。





当時の仲良しの輪の中で、
私はM君、
Y子はK君、
F子はF君と、
それぞれに恋をしていたので、


「三人ともチョコで告白しよう!」
という積極的なY子、F子の勢いにうながされるように、
私もバレンタインに告白することになってしまった!

彼女たちがいなければ、
私は間違いなく一生告白なんて出来ないままだった。



生れて初めて男の子に告白するのだ。

 

誕生日ケーキのプレートに
「○○ちゃん、○さいのお誕生日おめでとう!」
なんて書いてもらえる、あんな風に、
チョコに告白文を書いてもらえるのが当時凄く流行っていて、
直接口では絶対に死んでも言えないので、
それを買って利用する事にした。



 『ずっと前から、大好きです』



この言葉も何日も悩んで考えた。





バレンタイン当日、
それはそれはもう、
あれから数十年経った今となっても
あれ以上ドキドキしたことは無いってくらいに緊張した!


全身に心臓が百万個バクバクしてるみたい。


チョコを渡すだけで<好きです>と言ってるのと同じなんだもの。

っていうか、
この日に学校の外で呼び出すって事は
もう<好きです>って言ってるようなもの!





学校外で、しかも私服姿の彼を見てるだけで
ラクラしてどうにかなりそうなのに、
その彼の前まで10メートル位だったかな、
チョコを持って歩く自分の足と手がめちゃくちゃだった。
そして、


「あの、これ…」

と、それだけ言うのがやっとだった。

真っ赤になってるのが自分でもはっきりわかった。
だから超下を向いたまま彼の顔も見ないで渡して、
思いきり走って逃げ帰った。





当然だけど、
次の日から学校では意識しまくりで
顔を合わせ辛くて、
ロクに話も出来なくなってしまった。


チョコを渡して告白してしまったがために、

それまでは仲良く話すことも出来ていたのが、

すっかりできなくなってしまったんだもの。

私は告白を後悔した。

 

 

 



そんなある日。
その日は日曜日で、
部活の練習を終えて歩く帰り道。

あと5分ほどで家に到着するあたりだった。
夕日が照っていたのを凄くよく覚えてる。

私が歩いていたその横を
自転車に乗ったM君がスーっと
走り去って行ったのです。


学校以外で見掛けるなんてラッキー!

やっぱ私服姿見るとドキドキする~!


…なんて浮かれていると、
なんと彼が数十メートル先からUターンして戻ってきたのです。





その日は3/14ホワイトデー。
まさかそんなこと、あまりにも思いがけなかった。

私の目の前まで来た彼は、
照れ臭そうに
「はい、これ…」
とだけ言って、お返しをくれた。

ドキドキして泣きそうだった。
彼の背中から夕日が照っていて、
とてもとても彼が輝いて見えた。


 



なんて素敵な夕日なんだろうと
心から感激したのを今でも覚えてる。



ただのお返しでも死ぬほど嬉しかった。
青い蓋の可愛いボトルに入ったビスケット。
嬉しい事があった日に一個づつ大事に大事に食べた。
彼と目が合った日とか、
彼と話せた日とか。

 

 

 

今でも、ホワイトデーと言えば、
一番印象的なのがあの時の西日の光景。

13歳の懐かしい想い出です。
(今時の13歳はこんなに幼稚じゃないんでしょうけどねぇ)




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それからすぐに春休み。

私たち女子三人と男子三人は、
みんなで遊園地に行ったりもしたけど、
13歳の<だんし>と<じょし>、
なんだか意識しすぎてロクに話しも出来ないっていう状態で、
常に男子三人、女子三人がそれぞれ固まって、
男子組と女子組の間にはビミョ~な距離を保ってて、みたいな。

やたら緊張しただけのグループデートだった様な気がする…
それでも嬉しかったんだけど。

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そして二年生になり、
クラスも別々になってしまって
遠い存在になってしまった彼を
私はいっつも遠くから見つめ続けてた。

離れてからも、ずっと好きだった。
学校に行くと一日中彼の姿を探していた。
ずっとそんな片思いを続けてた。





二年生の一学期が終わり、夏休み。
7月の終わり頃が彼の誕生日。

私が今でも好きだということを彼に伝えたくて、
誕生日プレゼントを渡そうと決意した。


陸上部だった彼に部活で使ってもらおうとタオルを選んだ。
そしてコッソリ自分用にも同じタオルを買って密かにお揃いに。



だけど、やっぱり渡す勇気が無く…。



彼の誕生日の数日前から毎日部活の練習に行く時は
必ずカバンの中にプレゼントを入れて行き…

でも、いつも渡すチャンスも勇気も無くてダメ。

誰もいない道でバッタリ会えたら渡せるのに…と、
帰り道にわざと遠回りして彼の家の近くを歩いてみたりして。
(ちょっとストーカーちっくですよね)


結局毎日夏休みじゅうその繰り返しだった。


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とうとう渡せないまま、
二学期になってしまった。

それでもまだ渡せないプレゼントをいつも持ち歩いてた。

9月だもの、今さらもう誕生日プレゼントだなんて言えないな…
なんて言えばいいかな、
もう諦めようかな…。


そんな私にしびれを切らした女友達が、
M君を呼び出してくれた。



もうどうして良いやら半泣き状態で、
恥ずかしいやら情けないやら。




とにかくやっとの想いで渡すことができた。
一ヵ月以上毎日持ち歩いててラッピングがボロボロになったプレゼント。

 

 

 

 


その数週間後、
私は誕生日を迎え14歳になった。

その誕生日の2~3日後のこと。
部活から帰宅してすぐ友人の家へ遊びに行こうと家を出た、
その時、なんと、家のすぐ側にM君が!



彼は、
「この前、誕生日だったんでしょ。これ…」
と、
私にプレゼントをくれたのです!



好きな人から誕生日プレゼントをもらうなんて生まれて初めて!

受け取ったその足で約束していた友人の家に行き、
この出来事を報告してメチャクチャにはしゃいだ。



家に帰った時にはプレゼントは必死で隠した。
男の子から誕生日プレゼントを貰ったなんて恥ずかしくて。

その日の夜中。
布団にもぐって、プレゼントをこっそり開けてみた。
音を立てないように、ビクビクしながら…
すごくドキドキした。
センスが良くて可愛いお部屋の飾り物だった。


なんと、そこに手紙が入っていた。


プレゼントを貰っただけでこんなにドキドキしてるのに、
手紙なんて予想外で、パニくった。
悪いことだったらどうしよう…
いつまでも私がしつこく好きだから、
迷惑だとか…



 『俺、前から本とは、松尾さんのこと好きです。
ずっと言えなくてごめん。手紙、返事をください。』




涙がワーっと出た。
一晩中涙がでて眠れなかった。
彼に片想いし始めて一年近く…その想いが叶った!
死ぬほど嬉しかった。



それから手紙の返事を書いた。
どんな風に彼を想ってきたか私の気持ちを綴った。

その手紙を渡し、
またその返事をもらい…。

彼からネックレスをもらった。
ゴールドのプレートに筆記体で<Riku>と彫ってあるものだった。

好きな人の名前を刻むこのネックレス、当時流行っていたのです。
実は私も密かに彼の名前を彫ったネックレスをずっと持っていました。
私がしていたのと同じように
彼が私の名前を刻んでくれてた事に感激!




こうして14歳の私に生まれて初めての彼氏が出来ました。
とは言っても、
今時の14歳と違って本当に幼稚でしたから、
お互いの気持ちを確認しあったというだけ。

その後も何度か手紙のやりとりをした位で、
あとは時々友達何人かでボーリングに行ったり、
そんな時に自転車の後ろに乗せてもらったりして、
それだけ。

でも、凄く凄くそれが夢みたいに幸せで、
自転車の後ろで彼の腰を掴む、それが出来るのは彼女の証。
このままずっと時が止まればいいと思った。



でも、そんな楽しい嬉しい付き合いも
ほんの束の間だったのです。

 

 

 


最も多感な年頃を迎えていた私たち。
特に女の子は早熟。

周りの女の子たちが、
「こんな付き合いじゃだめ、
もっと恋人らしく、もっと積極的じゃなきゃだめ!
こんなんじゃ友達でも一緒じゃん!
別れる!別れて新しい恋を始めるのよ!」


とかなんとかって、
訳の分からない焦りと苛立ちでまくしたて、
「こんなじれったい人とは別れなきゃ」
と言っているのを毎日のように聞かされ、
そういうものなのか…と、
あろうことか、
私までが洗脳されてしまっていたのです。




12月。
友達に洗脳されて、
そうしなきゃイケナイような気になって、
あんなに想い続けたM君に、電話して別れを切り出してしまっていた。

電話している隣には先導した女友達も一緒。
「別れよう…」
言い始める前から涙が止まらなくて、
号泣に近い状態で、
もう言葉がグチャグチャなくらいに泣いて
何を言ってるかよく分からない状態。

電話が済んだあともひたすら泣きまくった。
こんなに悲しいのは好きでたまらないからだとすぐに分かった。


 別れたくなんかない!

 別れたくなんかない!



でももう後の祭りだった。






その数週間後のクリスマス。
どうしてもこのままに出来なくて、
手紙を添えたプレゼントを渡した。

「あの時はどうかしてました。忘れて欲しい」

「今でも大好き」

「やりなおしたい」


と想いをすべて綴ったけれど、
自分で勝手にめちゃめちゃに壊した大切な恋は
もう戻るハズもなかった。






月日がたち、三年生になり、
この恋を忘れようとして他の男の子に目を向けてみたり…
でも結局は忘れられず。
いつまでもウジウジしている!と女友達に叱られ。


あの別れからちょうど一年が過ぎた三年の確か12月頃に、
同じクラスのラグビー部の男子から
「付き合ってほしい」
と言われ。

「早く新しい恋をして忘れなきゃ」
という友達の声にも押されて、
自分でも「前向きに行こう!」って思えて、
ようやく付き合ってみたりした。


この男子は人気のある人だったみたいで、
一部の女子から聞こえよがしに
「なんであんな女がいいの?」
とか言われたりしてちょっと大変だったっけな~。

そんな彼とも卒業とともに自然消滅。
なぜだったか全然理由は覚えてないんだけど、
進学先も違ったし、なんとなく距離を取るようになって、
おわり。





高校生になってもまだ私は
M君のことを引きずっていた。

いろんな男の子と付き合ってみても
結局M君のことを忘れられずにいた。

彼とは高校も同じだったので学校で見掛ける事もあり、
一層忘れられなかった。
そうして月日が過ぎた。

 

 

 

 


高校一年の秋、10月のある日、
たまたま朝早くに学校に到着した私は、
まだ人の殆ど居ない校内で偶然にM君の姿をみつけた。

あの別れから二年が経っていたけれど姿を見る度に胸がキュンと切なかった。
こんな朝早い学校、偶然に私と彼だけ。


遠くから気付かれぬように、
この偶然に感謝しつつ彼をしばらく見つめながら
彼と幸せだった中学の頃のあの数ヶ月を想い出し、懐かしさに浸ってみたりした。



と、その時、校内放送で静かに音楽が流れてきた。


私がいっつもM君を想っては片思いの涙をしていた曲だった。


このシチュエーションでこのBGM!
なんてタイミングなの!



と思った次の瞬間、
私は更に耳を疑った。




遠くに見える彼が
その曲を口ずさんでいるのが聞こえたのだ。





全身に鳥肌がたって、
震えがきて、
涙がでてきた。



その涙とともに、その瞬間、
私はもうひとつの偶然に気が付いたのです。
この日は・・・

二年前にM君が初めて二人きりでデートしようと誘ってくれてた
デートの予定日が10月のこの日、
一昨年のこの日。


結局いろいろあってこの日のデートは
実現しないまま別れてしまった…。
今日がそんな日だと彼は覚えてはいないだろうけれど。

 

 

それから二年生になり、
私にもやっと心から愛せる新しい彼氏(本編の筒井君)が出来ました。

さらに月日が過ぎ、
高校三年生になった。



なんと、三年生になって
M君と私は同じクラスになってしまいました!

嬉しいやら、恐いやら…
まともに顔を合わせることが出来ないでいる私は
ただただうろたえるばかり。


彼にとっては遠い昔、
蚊に刺されたくらいの出来事だったかもしれないけれど、
ずっとずっと何年も引きずっていた私にとっては、
毎日ギクシャク、ビクビクって感じだった。
嫌悪感を持たれてるかも知れない。
嫌な奴だと思われてるかも知れない。




そのクラスがとっても仲良しムードで、
クラスのみんなで盛り上がることが多かったのが幸いだった。

5月のある日、
何かのイベントの打ち上げのパーティー
その時の盛り上がりの勢いもあって、一言二言M君と話すことが出来た。

どさくさまぎれで自然に話せて良かった!

と思っていると、
なんでそうなったのか、
彼が私を家まで送ってくれることになったのです!



彼と二人で夜道を歩くなんて…!




四年前ほんのひとときお付合いしていた時でさえ
夢にも思わなかった、こんなシチュエーション。

あんな別れ方をして、
もう二度と顔を合わせることも出来ない人だと思っていた。

ビクビクして、
まるで雲の上を歩いてるみたいに地面が変な感触だった。
お互いに意識的にくだらない世間話しみたいな事ばかりを
とぎれとぎれに話して、
間をつないでいたように思う。




そうして私の家の側に辿り着いた。

あの初めてのホワイトデーや、
その後の私の誕生日に彼が私にプレゼントを渡してくれた場所。



 <もう一生こんな機会は二度とない。絶対に無い。>

そう思った私は勇気をふりしぼり、




「もう少しだけ話していたいんだけど…」



と彼を引き止めた。
少し驚いたようだったけど彼も快く応じてくれて、
そこからは、
彼も私も、
少し殻を破って話し始めた。





具体的な会話は流石に覚えていないけど、
過ぎた想い出としてお互い中学時代のあの頃のことも色々話した。

まさか彼とこんなふうに話せる日が来るなんて…!



夢を見ているように夜は更けて、
空が白み始めたころに彼は帰っていった。
二人の間の長年の気まずさみたいなのが、
やっととれた。

私がその頃付合っていた筒井君とも
M君は仲良くなっていたし、
これからは友達になれそうだった。





私は当時、
親戚が講師をしている芸大受験塾に通っていました。
その後M君も美大志望とのことで同じ養成所に来る様になり、
学校以外でも毎週土日はそこで一緒に美術に励んだ。

友達だけれど、やっぱりほんの少しお互いに意識していた様な…
(私だけかな?(^-^;)
そんな微妙な友達関係が卒業までずっと続いた。





彼は高校三年の終わりころから付き合っていた彼女と結婚し、
お子さんもいるとのこと。

妻の愛情のすべてを子供に持って行かれたと、
そんな愚痴を話していたとか、友達が言ってた。

それが20代後半頃の風の噂。


もうその後、二度と会うことは無いと思っていたのですけれど、

実はこの彼とはなんと!

大人になった後でまさかの再会を果たしています!

 

そのお話は・・・またいつか。


『番外編』おしまい。