ある恋愛日記カミングアウト【実話小説ラヂヲ】

【大人向きリアル恋愛日記小説】運命の恋・失恋・行きずりの恋・遊びのSEX・結婚・玉の輿・出会い系・モラハラ・離婚・妊娠・殺人・再婚・浮気・不倫・虐待・絶縁・同棲・二股・三角関係・遠距離恋愛etc…私の身に起った実話小説です。最低な話も多々ありますが何かのお役に立てれば幸いです。

第1話『プロローグ』

朗読をお聞きの方はこちらから。

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私はオナベになろうと思ったことがある。

 

かなり真面目に。

 

 

 

 

 

松尾リク15歳。

その理由は、

 

ただ女を辞めたかったから。

 

 

 

 

 

 

性同一性障害なのか、否か、
今でもハッキリはわからない。
これが現代だったら、
きっと、
性同一性障害に違いない!性転換したい”
という発想になっていたのだろうと思うけど


時代は昭和。

そんな言葉は聞いたこともなく、
インターネットもない・・・

昭和の15歳が辛うじて知り得た
”女を辞める道”は、オナベだった、

というだけ。

 

 

 

女性を愛する傾向は皆無なのだけれど、

女であることの違和感が半端なかった。


女性のことを同性に感じたことはない。
男性のことを異性と感じたことはない。
しかし、恋心を抱くのは常に男性。

 

 

今なら、
FTM ゲイ”

身体が女性、心が男性、そして同性愛者(つまり恋愛対象が男性)
という状態なのかもしれないとわかる。

 

 

 

繰り返しになるが、
昭和の15歳に、そんな情報も発想もなかった。 

 

ただひたすら男になりたい、

そう思っていた。
どうすることもできなかった。

 

 

 

 

 

ひとりの男の子を四年間ただ密かに

ひたすら想い続けた小学校時代。

 

 

中学校でもまた別の男の子に

二年間どっぷりと恋をした。

 

(このお話はまたいずれ番外編としてお話しします。)

 

 

 

 

 

自分の性への違和感の正体などわかり様もないまま、
私自身はそうやってただ一途に恋をするタイプの、

極フツ~の少女であるしかなかったと思う。

 

 

特別美形というワケでもなく、

自分で見る限りいくら贔屓目にみたって中の下って所カナ?

ははは。

悲惨な家庭で生まれ育ったせいで、
人に愛されたい、良い子でいたい、
その気持ちが強いせいで

愛嬌・愛想は良い、
それだけ。

 

 

 

 

 

それだけなのに……

 

 

自分で言うのはカナリ変だけれど、

実際、何故だかとにかくモテた。

小学校時代も、中学校時代も…

 

まあ大半はきっと

単なる冷やかしみたいなモンだったのでしょうけれど。

 

 

 

 

 

 

 

昭和50年代。

今の中高生が産まれるよりも遥か前。

 

 

きっと、

今の中高生のママやパパが産まれたばかりの赤ちゃんだった時代。

私リクは中学生だった。

 

 

 

 

 

当時はTOPアイドル松●聖子ちゃんをはじめ、

アイドル歌手の全盛期。

そんなアイドル達の「ブリッ子」に対するブーイングが

社会現象っぽくなっていて…

 

 

 

実際に「ブリッ子」な振る舞いをしてるかどうかはあまり関係なく

男の子に人気のあるモテ女子は、

何をやっても

「ブリッ子」呼ばわれされ、

女子たちの非難の的にされていたりして、軽いイジメ状態。

 

 

なぜだかやたらとモテた私も

一部の女子から

けっこう非難の的にされてしまった。

美形でもないし、

男兄弟の真ん中っ子だった私は

どうみてもボーイッシュタイプで、
ましてや

性同一性障害”の気配があったわけで、

「ブリッ子」的な女の子らしさは

持ち合わせていなかったハズなのだけれど。

 

 

 

 

 

大した女じゃないのに

何故かやたらモテたのが

女子力満載な彼女たちには気に入らなかったのだろうか。

 

 

 

 

 

中学のラグビー部で女子から人気があった斗真君から

「良かったら、俺と付き合って欲しいんだけど……」

と言われて付き合い始めた頃、

「なんであんな女?あんな女のどこが良いのよ!」

なんて、

数人が代わる代わる私の居る教室に

ワザと大声でイヤミを言いに来たり。

 

 

 

部活の仲間で回していた交換日記でも、

みんな普通に楽しく書いてるのに、

私だけ何を書いても

「ブリッ子」

「ウザイ」

「キモイ」

みたいに書かれるか、

スルーされてしまう。

 

 

 

 

傷付いた。

凄く悩んだ……

とにかく苦しかった。

 

 

フツ~にしてるだけなのに、

「ブリッ子」って何?

何??? 一体何が気に入らないの?

 

 

 

モテようとか、可愛くみせようなんて、

思った事ないのに。

むしろ、

貧乏人でダサかった私は、

お洒落で可愛い他のみんなが

とにかく羨ましくて、

みんなに憧れ、同じに近付きたかった。

でも全然ムリで、

いつも畏縮してるだけだった。

 

 

 

そんな真面目でダサいだけの女なのに、

何をやっても何を言っても

「ブリッ子」してると言われて、

本当に辛くて、苦しくて。

でもどうして良いか解らなくて、

どうやっても状況は変わらなくて…

 

 

 

 

そのことがあって、

高校進学の時、

人間環境が変わることを機に、

私は生まれ変わる決意をした。

 

 

とことん男の子になろう!

 

 

 

男の子、

しかも三枚目の男子になり切ろう!

 

 

 

 

 

フツ~にしてて

「ブリッ子」だと言われるのなら、

フツ~の女の子から一番遠い存在である

男の子になってしまえばいいんだ。

 

オナベさんみたいに男装して

男子になれば、

男子からモテることもなくなる。

モテなければ

女子に非難されることもない。

そしたらもう

「ブリッ子」とは言われない。

それしかない!

それが一番いい!

 

このタイミングしかない!

 

 

 

もともと小さい頃から

自分が”男”である気がしていたのだし、

女の子らしくするより

むしろ男になる方が自分も自然。

だから、なり切るのは楽勝だったし、

喜んでなれた。

 

 

ラッキーな事に私の進んだ高校は

私服通学!

男の子みたいな格好でいるのも

自由だし、

話し方も男言葉を喋るようにした。

自分のことは
「わたし」じゃなく「僕」。

 

 

 

 

 

私の作ったこの男装キャラは、

自画自賛っぽい言い方だけど、 

ホントに結構ウケが良かった。

私はクラスの男女みんなに、

「リクは面白いよな~」

「リクってイイ奴だよね」

って感じで受入れてもらえて、

クラスの愉快男子キャラになった。

 

15歳 男子 松尾リク 誕生。

 

 

私の変身は大成功。

女の子であるがために味わってきた

辛い思い、

中学での憂鬱を、

すっかり晴らして楽しい高校生活を

始めることが出来たのだ。

 

こんなに楽に生きられるのなら、

これから一生、男として、つまり

オナベとして生きて行ったほうが

良いじゃないか

そう思えた。

 

 

 

でも実は、それなのに何故かまだ、

女の子として恋の対象にされることも

しばしば……

 

 

 

何人かのモノ好きな男子が

オナベキャラの私にコクってきた事もあったのですから、

今思えば、

キャラ作りが未熟だった

ってことなのでしょうねえ。

 

 

 

 

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高校一年生。

 

オナベキャラの中身である

フツ~の少女としてのその頃の私は、

一体何が本当の恋なのか良く分からなくなってしまっていました。

 

 

中学二年の終わり頃に失った恋。

その後遺症をまだ引きずっていた…

 

 

 

中学生とはいえ、

とてもとても大きな恋でした。

あれほど夢中だったのに、

愛してたのに、

多感な時期のほんの気の迷いで

自ら別れを切り出してしまった。

 

 

失って初めて

どれほど自分が彼を愛していたかと

思い知らされた。

 

 

とてつもない後悔、

 

もう届かない想い…

 

 

 

 

それから数年経って

高校生になったというのに、

中学でのその恋を

簡単に忘れられる性格ではなく、

何年経ってもまだ心の奥で

彼を想い続けていました。

 

 

 

そんな中で、まだまだ子供だった私は、

燃えくすぶる恋の火種を

他の恋の炎で消そうと

していたような感じだった。

 


本当に子供だった。

 

惚れられて近づいてこられると、

いつの間にか自分も相手を好きなような錯覚に陥ってしまい、

2~3か月付き合っては

ふと我に帰ったように目が覚める。

やっぱり私が愛してるのは

まだあの彼なのかも知れない…と。

そして束の間の疑似恋愛を終える。

 

高校で最初の一年は
そんな錯覚の恋愛を

いくつか繰り返していた。

 

 

 

 

そして思った。

 

こんなこと繰り返していてはいけない。

惚れられてその気になってるんじゃ

ダメだ。

 

私の方から片思いするような

本物の恋をしなきゃ。

中学生のあの時の彼への恋のように。

 

 

本当に心から誰かを好きになりたい。

 

 

 

 

そうでなきゃ、今のままじゃ結局、

人を傷つけてばかりだ。

 

 

それからの私は誰が言い寄ってきても、

返事はひとつ。

 

 

 

 

「今は誰とも付き合う気はないから、

ごめんなさい。」

 

 

 

 

 

 

 

私のオナベキャラは

女子にウケが良かったのは勿論ながら、

”男子”なわけだから、
沢山の男友達にも

囲まれるようになっていた。

”男女”ではなく

”男どうし”という感覚で。

当時一番気が合う一番の親友、

マブダチといえたのも男子だった。

 

 

 

 

二人のマブダチと私、

この三人でいっつも一緒に遊んでた。

僕たち男三人で何だって語ったし、

いつも一緒に大笑いしてた。

15歳の夏だった。

 

”ブリッ子”の呪縛から私は

やっと解放され、

自分の居場所をみつけられた。

沢山の友達といるオナベな自分という

居心地のいい場所。

 

 

 

 

高校一年の秋が来た頃、

僕ら三人の中の一人、

筒井君が恋をした。

クラスのかわいい女の子に。

 

私ともうひとりのマブダチ坂口君は

ここぞとばかりに盛り上げた。

親友筒井君の恋を

絶対に実らせてやろうぜ!と。

 

 

 

私は女の子たちにもウケがよかったから

彼女をその気にさせるのは

たやすかった。

 

「筒井ってホントいいヤツだから

付き合ってやってよ」

 

僕が保証するよ!とかなんとか…

 

そうして筒井君と彼女、江梨子は、

めでたくカップル成立!

付き合うことになった。

 

 

とはいえ、

私リク、筒井君、坂口君の男三人の仲は変わらない。

・・・ハズだった。

 

 

ハズだった。

 

しかし、江梨子は恐ろしく

嫉妬深い女の子だった。

 

私が彼等の中で”男”であることを

十分わかっているくせに、

それでも筒井君の一番近くにいる

私の存在を許さなかった。

筒井君、坂口君の仲は許しても。

 

まあ気になるならしょうがないと、

ほんの少しだけ筒井君と

距離を置くようにした。

三人の仲は相変わらずだったけれど。

 

 

 

 

 

 

筒井君は江梨子と二人でいることが

多くなった。

その姿を離れて見ていることが増え、

その状態になって初めて
私は自分の心の苦しさに気が付いた。

自分の中に潜んでいた気持ちに、

その時、気が付いたのだ。

 

 

私は、

間違いなく筒井君に恋をしていた。

 

 

それもどうしようもないくらいに。

筒井君の居ない生活なんて

考えられないくらいになっていたのだ。

 

 

 

 

運命の恋だった。

 

好きな人をみてドキドキしたり、

いろんな恋をしたけれど、

”この人が側にいないと息も出来ない、

生きられない”

なんて想ったのは初めてのことだった。

 

 

 

 

   

だけど、

私が彼等のキューピット役をしたところから始まった恋だなんて。

はじめっから100%の片思い、

失恋からスタートしたような恋。

 

 

 

いったい

どうなって終わるっていうのだろう。

 

 

 

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